山口地学会

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山口県西部

豊浦層群阿内層の砂岩泥岩互層

豊浦層群阿内層の砂岩泥岩互層

写真の露頭(2002年撮影,右側が北)は,グリーンロードに架かる阿内高地橋の北端から西側を見ると目の前にあるが,現在は南端部を残し盛土(下の写真)で埋め立てられている。

地質はジュラ系豊浦層群阿内層の砂岩・泥岩互層からなり,その走向・傾斜はN80-36°W・90°±10°で南上位を示すが,時代の異なる2つのダイナミックな地質学的事象を記録している。1つは,後期ジュラ紀の内陸側地体群の海溝側への衝上によって代表されるジュラ紀変動と恐らく関係する。写真の露頭では阿内層上半部が,比較的安定した環境下で堆積した豊浦層群歌野層から下位の地層と異なり,厚い重力流起源砂岩層が何層にも累重していることから,この変動時に堆積した地層と考えられる。もう1つは,下部白亜系関門層群の堆積後に形成された山口県西部各地に分布するほぼ東西性の軸をもつ褶曲と関係する。下関市内日下の大畑から高地峠南側を通り,清末の鳥通に抜ける垂直断層は,それらの褶曲の一部を構成する背斜軸面が変位したものである。

写真の露頭では,この背斜軸南側にできた衝上断層が観察される。これらの断層は,背斜軸の方向とほぼ同じ走向で,写真右側(矢印)でN82°W・35°S,左側でN75°W・36°Nを示し,背斜褶曲に伴い南北圧縮応力下で副次的に形成されたものとみられる。

河村博之(下関市長府)

豊浦層群阿内層の砂岩泥岩互層

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