山口地学会

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山口県北部

萩市小川の玄武岩柱状節理と“龍の鱗”

萩市小川の玄武岩柱状節理と“龍の鱗”

岩盤を掘削すると縞々状など多様な地質模様が現れる。写真では鱗(うろこ)状に見える。龍鱗郷(りゅうりんきょう)。これは萩市(旧田万川町)小川地域伝統の神楽舞の蛇に因んだ愛称で,山口県指定の天然記念物である。鱗の正体は柱状節理である。

どうやってできたか。地質学的には最近の約30万年前,玄武岩溶岩(阿武火山岩)が噴出した。辺りには溶岩流がおびただしくあふれ出し,溶岩湖が広がった形跡(溶岩台地)が認められる。当時の旺盛な火山活動を目に浮かべてみてください。そして,この溶岩が冷却固結する過程において,収縮し,引張られ,割れて,柱が密集する節理岩体ができた。柱を真上から見ると,大体六角形をなすものが多い。中には,1辺30cm,1角120°程度の正六角形が存在し,等方的な引張応力の発生がうかがわれる。自然の造形美である。柱状節理群全体を見たときの大スケールでの岩肌も魅力的だが,小スケールでの1個1個の柱の六角形もなかなか乙である。

現地へは,県道益田阿武線沿いの中小川地区から神宮山西側の農道に入り,所々にある案内看板にしたがって行く。すると,あっ巨大な龍が潜んでいる!

津田秀典(常盤地下工業)

萩市中小川

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