山口地学会

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山口県北部

須佐の「畳岩」

須佐の「畳岩」

須佐の観光名所である「須佐ホルンフェルス」の代表格は「畳岩(たたみいわ)」である。立派な海食崖に灰白色と黒色の鮮やかな縞(しま)模様が浮き上がり,白い波,青い空とよく調和して,美しくて雄大な景色である。最近(平成19年),この場所は「日本の地質百選」に選ばれている。

この縞模様をつくっている地層は新生代新第三紀中新世の須佐層群の砂岩・頁岩互層で,灰白色層が砂岩で,黒色層が頁岩である。畳岩の北方では,中新世の高山(こうやま)斑れい岩体が須佐層群に貫入し,周囲の岩石に接触変成作用を与え,種々のホルンフェルスを形成している。その接触変成作用の及んだ地域は,西村・鈴木(1979)によると,変成度の高い方から低い方へ,斜方輝石帯,菫青石帯および黒雲母帯に分帯されている。畳岩付近は黒雲母帯の最低温部に相当しており,ホルンフェルス化の度合いは極めて弱い。典型的なホルンフェルスはむしろ畳岩の北方で見られる。

畳岩付近の地層からは二枚貝(パチノペクテン:ホタテガイの仲間)や巻貝の化石および生痕(せいこん)化石が産出し,また小断層,スランプ構造および生物擾乱(じょうらん)(底生生物が未固結表層堆積物をかき乱すこと)が観察できる。

松原 康(大殿中学校)

萩市須佐

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