山口地学会

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山口県中部

琴音の滝

琴音の滝

琴音(ことね)の滝は,防府市を横断する国道2号を徳山方面に向かい富海(とのみ)公民館バス停を左折して約1km北方に行った所にある。 この滝は,上流から下流に向かって,一の滝,二の滝,三の滝,四の滝の段瀑になっている。 写真の滝は一の滝であり,落差約5m,水幅約2.5m,落ち口幅約90cmである。滝つぼには石や砂が堆積しており,水深は80cmくらいである。

造瀑層(ぞうばくそう)は,周防変成岩の泥質片岩を原岩とした泥質ホルンフェルスである。この岩石は,約2億2千万年前(中生代後期トリアス紀)に高圧型変成作用を受けた後に,後期白亜紀の山陽帯花崗岩類による接触変成作用を受けてできたものである。泥質ホルンフェルスには,原岩の泥質片岩中に形成されていた石英の分結脈に由来する石英脈が顕著に発達している。滝周辺の泥質ホルンフェルスからはコランダム,菫青石(きんせいせき),紅柱石,ざくろ石などの変成鉱物が産出する(佐脇,1985)。

滝付近の泥質ホルンフェルス中には,アプライト脈がしばしば貫入しており,その一部には塊状ペグマタイトが伴われる。また,一の滝の上流の千畳敷と呼ばれる平坦な場所では,花崗岩中に泥質片岩の捕獲岩(ゼノリス)を観察することができる。

松本 浩(防府市青少年科学館)

防府市富海

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