山口地学会

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山口県東部

玖珂層群の層状チャート

玖珂層群の層状チャート

チャートという岩石は,堆積岩の一種で,石英分(SiO2)に富み,珪質の骨格を持った微生物の遺骸が深海底に降り積もってできた,と考えられている。しばしばチャートの層と薄い泥岩層とが交互に繰り返して,板を重ねた様に見えるので,層状チャートとよばれている。

写真では,チャート(灰白色)に比べ,泥岩層(黒色)は柔らかいのでくぼんで見える。玖珂層群は,かつて「秩父古生層」の一部とされたが,放散虫などの微化石の研究から,主に中生代ジュラ紀にできた地層であることが明らかにされ,1970年代後半~80年代に日本の地質学の基本概念が「地向斜造山論」からプレートテクトニクスへと大転換するきっかけとなった地層の1つである。玖珂層群は,チャートのほか,泥岩や砂岩を主とし,玄武岩質の火山岩・石灰岩などを含み,古生代後半から中生代ジュラ紀末まで,いろいろな時代の岩塊が混在した地層である。現在では,海溝付近で,深海底の堆積物や火山岩と陸源の堆積物とが混在してできた「付加体」という地質体であると考えられている。

写真の露頭は,錦川の支流根笠川の河岸にあり,旧玖珂鉱山の跡地を利用した娯楽施設“ムーバレー”の入口から400mほど北の駐車場脇から下りることができる。

加納 隆(山口大学名誉教授)

岩国市美川町 根笠川

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