山口地学会

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山口県東部

弥栄峡の花崗岩と“石の亀”

弥栄峡の花崗岩と“石の亀”

弥栄(やさか)峡は,山口県と広島県の県境を流れる小瀬(おぜ)川にある花崗岩の峡谷である。国道186号を北西へ進むと,弥栄ダムを過ぎるあたりからトンネルの連続となる。ダム湖の対岸から望むと,白い屏風を立てたような断崖がそびえている。このあたりからが「弥栄峡花崗岩」である。

弥栄キャンプ場から右岸沿いの遊歩道を下ってゆくと,なんと川の中に巨大な亀が見えるではないか! 頭を下流に向け,大きな甲羅を背負った,花崗岩でできた“石の亀”である。峡谷の花崗岩には,顕著な割れ目が発達する。岩盤中の平面的な割れ目で,相互にずれのないものを「節理」という。写真では,ほぼ水平の節理がよく見えるが,河床におりて見ると,ほぼ垂直で河岸に平行な節理と直交方向との3方向の節理が発達している。

“石の亀”はこうした節理のなせるいたずらであろうか。弥栄峡花崗岩は,比較的粒の粗い黒雲母花崗岩で,薄桃色のカリ長石を含んでいる。1995年版山口県放射年代図には,8600万年と8200万年のカリウム-アルゴン年代が記されており,後期白亜紀の山陽帯花崗岩類に属する。 寂地(じゃくち)峡のある宇佐花崗岩とともに,広島方面に続く巨大な花崗岩体(バソリス,底盤ともいう)を構成している。

加納 隆(山口大学名誉教授)

岩国市美和町

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