山口ジオフォトツアー
ジュラ系豊浦層群は下位から東長野層,西中山層,歌野層および阿内層に区分される。この法面(左側が南,2002年1月撮影)は,縞状泥岩に薄い砂岩層を所々挟在する海成歌野層(中期ジュラ紀),およびこれを覆う硬質砂岩や泥岩などの中~巨礫と泥~砂礫基質からなる段丘堆積物(法面頂部)から構成され,基盤が全体的に風化し脆弱化していることから,法枠やアンカー工が広く施工されている。縞状泥岩は平行葉理(しばしば砂質のラミナを形成)の発達する岩相とPhycosiphon isp.(左下写真)が密集し初生的な堆積構造が不明瞭となった生物擾乱相とが細かい互層をなす。
Phycosiphonは,貧酸素環境において普遍的な浅内棲型泥食者の生痕であるが,酸素を比較的多く含む海成タービダイト表層部にコロニーを形成することが多く,山口県下では豊浦層群各層のほか,美濃-丹波帯を構成するジュラ系玖珂層群から知られる。この法面のスロープを上がり送電線の鉄塔に至る小道を行くと平場があり,ここで法面よりも層序的上部の歌野層の崖を観察できる。この崖の左端(高さ2m)を登り小道沿いを25mほど行くと歌野/阿内層境界の小露頭を観察できる。法面は下関市阿内を南北に縦断するグリーンロードと林道中尾線との交差点北側に位置する。
下関市阿内