山口地学会

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山口県西部

下関市豊北町神田鍋島の日置層群

下関市豊北町神田鍋島の日置層群

山口県北西部の長門市北西部(おもに旧油谷(ゆや)町,同日置(へき)町)と下関市豊北(ほうほく)町特牛(こっとい)周辺には,新生代古第三紀後期漸新世(約2500万年前)の日置(ひおき)層群が分布する。日置層群は,陸域から浅海に堆積した地層からなり,下位から十楽(じゅうらく)累層,黄波戸(きわど)累層,峠山(たおやま)累層および人丸累層に区分される(岡本,1970)。これらの中で,黄波戸累層,峠山累層および人丸累層は,下関市彦島・六連島(むつれじま)から福岡県北東部にかけて分布する芦屋層群の山鹿(やまが)層,坂水層および脇田(わいた)層にそれぞれ対比される。

豊北町神田の鍋島には,日置層群峠山累層が分布する。ここの峠山累層は砂岩と頁(けつ)岩が優勢で,礫岩や凝灰岩を伴う。本層の露頭からは,Glycymeris cisshuensis(シシュウタマキガイ),Dosinia chikuzenensis(チクゼンカガミガイ),Euspira ashiyaensis(アシヤタマガイ) など芦屋化石動物群に属する貝類化石や脊椎動物化石が産出している。脊椎動物化石では,軟骨魚類(サメ類,エイ類),爬虫類(カメ類),鳥類(プロトプテルム科),哺乳類(鯨類,ブラキオダス類)が見いだされている。
鍋島へは,神田小学校と神田町民グラウンドのあいだの通路から肥中(ひじゅう)海岸へ向かう。海岸に出ると右前方に目的地の鍋島が見える。岩場を通る際は落石に注意を要する。

深田佳作(山口県庁)

下関市豊北町神田鍋島

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