山口地学会

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山口県西部

本山岬の「くぐり岩」

本山岬の「くぐり岩」

本山(もとやま)半島最南端の本山岬に「くぐり岩」と呼ばれる奇岩がある。縦方向の節理に沿って海食が速く進んだ結果,海食洞が貫通してトンネル状になったものである。トンネルは大小あわせて3本あり,写真に写っているものが最大(高さ3m,幅2-5m)である。この大きなトンネルをとおして見える夕日は絶景である。

「くぐり岩」とその周辺は新生代古第三紀始新世の宇部層群に属する礫(れき)岩層主体の地層からなっている。礫岩層は礫混じり砂岩層(写真で黄褐色に見える部分)や砂岩層と互層しており,これらには平板型斜交層理がよく発達している。「くぐり岩」の礫岩層では,礫は亜円-円形を示し,中-大礫である。礫種はチャート,砂岩,珪長質火山岩,珪長質半深成岩,結晶片岩,蛇紋岩,花崗岩などで,チョコレート色をした泥岩の偽礫(ぎれき)も見られる。

「くぐり岩」へは,本山岬公園の駐車場から坂道を下って海岸に出て,右手の海岸伝いに100mほどで行ける。ただし,引き潮時でないと無理である。海岸に出て,左前方には風化した蛇紋岩(周防変成岩に属する)が露出している。この蛇紋岩は宇部層群の基盤の一部であり,引き潮時には,礫岩層,砂岩層およびシルト岩層が蛇紋岩にアバット(不整合の一型式)している様子を観察することができる。

岡村正英(山陽小野田市)

山陽小野田市本山町本山岬

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