山口地学会

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山口県北部

「龍宮の潮吹」のデイサイト岩脈

「龍宮の潮吹」のデイサイト岩脈

北長門国定公園にある観光名所「竜宮の潮吹き」(昭和9年8月天然記念物及び名勝に指定)付近の地質は,古第三紀始新世の津黄安山岩を主体とする火山岩層からなり,岩石は著しく変質している.この火山岩層は,白亜紀関門層群を不整合で覆い,漸新世日置層群と後期中新世山陰火山岩(アルカリ玄武岩)に不整合で覆われる.

「龍宮の潮吹」では,津黄安山岩を貫く幅約15-20mのデイサイト岩脈が認められる(写真中央の岸壁).この岩脈の走向は北西-南東で,70°南西に傾斜する.津黄安山岩との接触面に平行な赤褐色の急冷周縁相が見られ,岩脈内には流理構造が発達している.デイサイト岩脈のジルコン・フィッション・トラック年代は35Maであり,津黄安山岩ともに田万川期火山岩に対比される.“岩壁に打ち寄せた大波が岩の穴に流入し,音を立てて空中に吹きあげる”壮大な潮吹現象は,この岩脈の露出する東岸壁で見られる.最寄りの駐車場から数分歩くと,「龍宮の潮吹」展望台の東屋があり,そこから写真の光景が良く見える.この近くに「元ノ隅稲成神社」に繋がる朱色の鳥居,テレビ朝日の「ナニコレ珍百景」という番組に登場した高さ5mの入れにくい賽銭箱もある.

今岡照喜(山口大学大学院理工学研究科)

長門市油谷津黄海岸

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