山口地学会

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山口県中部

掘削法面に出現した活断層露頭:下郷断層

掘削法面に出現した活断層露頭:下郷断層

平成23(2011)年初め、山口宇部道路の建設に伴って山口市小郡長谷(ながたに)西の掘削法面に見事な活断層露頭が現れた。

掘削法面には、ほぼ垂直な断層面(N40°E/86°N)に沿って、幅5cm程度の灰色断層ガウジが明瞭に確認できる。断層の東側(写真左側)ではシルト岩と泥岩の細互層(中生代関門層群)がきれいに褶曲しているとともに、層理面が断層に沿って引きずられているようにみえる。細互層の上位は、亜円礫を含む赤褐色の段丘礫層で不整合に覆われる.断層の西側(写真右側)には、法面上部までカタクレーサイト化した礫岩(同じく関門層群)が現れている。このことから、断層は段丘礫層を切っていることがわかる(図)。

段丘礫層は中位段丘相当層(推定2万5千年前以前に堆積)に対比されるので、それ以降に断層活動があったと判断される。掘削法面に現れた断層は、大原湖断層系(全長57㎞)の南西部を構成する下郷断層に相当し、山口市小郡上郷から嘉川まで続く長さ5kmの活断層である。残念ながら、この露頭は、法面の安定対策のための擁壁に覆われて、今はみることができない。

金折裕司(山口大学理学部)

山口市小郡長谷

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